38歳、女、憧れの離島住まいの現実

私がしていたのはいわゆる「リゾートバイト」です。

海の綺麗な南の離島、仕事場はお洒落でこじんまりとしたホテル、これまたお洒落なカフェが併設されていて、空いた時間には近くのビーチでひと泳ぎ!住むところ完備!食事付き!……なーんて夢のようなバイト!
の、はずでした。

寮としてあてがわれたのは、古くてボロボロの元民宿だった建物の一室。

たったの4畳半。

トイレ、シャワー、洗面は共同。

ベランダもなく、洗濯物は廊下に干すしかない。

壁が薄くて隣の部屋でティッシュを引き抜く音がはっきり聞こえるほど。

部屋にいる時は毎日息を潜めていました。

唯一のメリットは窓から海が見えること。

それだけ。

仕事内容もハード過ぎて、海に泳ぎに行く元気も残りませんでした。

すぐ目の前なのに。

毎日毎日朝から夜中までホテルの掃除やお客さんのお出迎えやお見送り、カフェでの接客や調理、従業員の食事の支度まで……。

昼休みはカフェの中休みで2~3時間ありましたが、洗濯してちょっと休めばもう終わり。

すぐに夜営業の仕込みの時間。

ランチの片付けが長引けば、そのわずかな昼休みすら無くなってしまいます。

店で出すケーキも作らないといけない。

休憩時間が全然無い日が続くこともよくありした。

閉店時間を過ぎてもだらだらと居残るお客さんが憎く思えてくるほど。

夜は夜でお酒を出していたので23時閉店で、その後1~2時間かけて後片付けや掃除や発注をしていました。

1人で。

しかも夏場は稼ぎ時だからと、定休日はゼロでした。

朝から夜中まで働いで、休みゼロ。

毎日毎日、寮と店の往復。

目の前に海があるのに。

周りは南国への旅行を楽しんでいる人たちばかりなのに。

しかもそれだけ働いても固定給で、ある時労働時間を計算して時給を出してみたら200円程でした。

しかもそこから家賃と食費を抜かれて、手元に残るのはほんのわずか。

なにもかもが最初に聞いていた話とはかけ離れていました。

ですが、元々の部屋を引き払って来ていたので、そう気付いた時にはもう引き返せない状況でした。